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台湾死亡遊戯 -其の肆-

台湾最大の乾物街である油化街に到着した我々は、漢方屋が並ぶ通りへとやって来ました。元来胃腸がそれほど強い方ではない事に加え、慢性的な飲酒過多であった当時の私は、逆流性食道炎の症状に悩まされていました。太田胃散・ガスター10・サクロンetcといった市販されている胃薬は大体試したのですが、これといって自分に合うものが見つけられず、ここは一つ、西洋医学ではなく東洋医学に活路を見出そうと考え、私の希望でこの油化街へとやって来たのでした。

数ある漢方屋の中でも、ろみちゃんが以前行ったお店は日本語を話す店員さんがいるというので、我々はその漢方屋へ入る事にしました。店内に入ると、ずらりと漢方が並ぶカウンターの奥にいる女性が我々3人を見るなり、「いらっしゃいませ」と日本語で話しかけて来ました。私は日本語が通じる事に少し安心し、その女性に自分の症状を説明しました。すると彼女は、自分が「順天堂大学で漢方を学んだ」事を前置きしつつ、そこで自分が得た知識をベースに胃腸と肝臓に効く漢方をいくつか紹介してくれました。まず第一に、私は彼女にどこで漢方を学んだかなど聞いてないし、仮にこちらから聞いたとしても、はるばる日本から台湾まで漢方を買いに来ている客に対して、「自分は日本で漢方を学びました」という事は絶対に言ってはいけない事であるなと思いました。私は仕方なく、順天堂大学直伝の漢方を胃腸用と肝臓用にそれぞれ一つずつ購入しました。カラコさんも、お酒をよく飲む人に良いという漢方を購入しましたが、ろみちゃんは「今は漢方よりもプロテインが欲しい」との事だったので、何も買わずに店を出ました。

我々はその後、「台湾のベニス」と呼ばれる川沿いの街「淡水」に向かいました。綺麗な夜景の広がる川沿いの遊歩道を歩いていると、川の向こう岸で花火が上がり始めたので、しばらくビールを片手に花火を見ていました。すると、ろみちゃんは少し酔い始めたのか、私に何かモノマネをするように要求してきました。私はモノマネは得意ではありませんが、渋々数少ないレパートリーの中から、渡哲也の新春ドラマスペシャル「マグロ」のテレビCMのモノマネを3パターンほど披露しましたが、案の定1ミリもウケませんでした。

その後、

ろみちゃん→帰宅
カラコさん・恥骨→クラブに行く→誰もナンパ出来ない→朝ラーメン→2日目終了

3日目。
前日のクラブ活動で疲れていた私は昼過ぎまで爆睡していましたが、浴室から聞こえるシャワーの音で目を覚ましました。当たり前のようにカーテン全開でシャワーを浴びているカラコさんは私が起きた事に気づくと、嬉しそうに自分の一物をガラスに押し付け、そこにシャワーを浴びせかけていました。「つくづくチャーミングな男である。」 私はそう思うと同時に、ある意味それはこのバスルームの一番正しい使い方なのかもしれない、とも思いました。

台湾最終日のその日は、スタジオジブリの名作「千と千尋の神隠し」の世界観のモデルにもなっている「九份(キュウフン)」という街へ行く事になっていました。ろみちゃんとも現地で待ち合わせる予定でしたが、待ち合わせ時間まで少し余裕があったので、私は台北市内で小籠包を食べてから行こうとカラコさんに提案しました。するとカラコさんは「小籠包食えない」と冷たく言い放ちました。私は、「小籠包が食べれない」人間自体が初めてでしたし、小籠包も食べれないのにコノ野郎は一体台湾に何しに来たのかと腹が立って来たので、なぜ小籠包が食べれないのかをカラコさんに問いただしました。彼の言い分としては、数年前に中野の焼き小籠包屋で小籠包を食べ過ぎて気持ち悪くなって以来小籠包が食べれなくなった、という理由を述べました。このような不思議ちゃんアピールを織り交ぜたふざけた言い訳は到底納得出来るものではありませんでしたが、彼には会社を休んで東京から来てもらっているという事を思い出し、彼の希望通り、ホテルの近所で魯肉飯(ルーローハン)を食べました。食後に、私は昨日ろみちゃんが「プロテインが欲しい」と言っていたことを思い出し、台北市内でプロテインを購入してから、九份に向かいました。

電車とタクシーを乗り継いで約1時間。山に囲まれたその小さな街に着くと、パラパラと小雨が降ってきました。ろみちゃんが到着するまでまだ少し時間があったので、私とカラコさんは売店でビールを買って、屋根のある階段の踊り場で雨宿りをしていました。その間、カラコさんは、NBA史上最高の選手はアキーム・オラジュワンであるという持論を展開し、自分はゴール下でのパターンを15種類持っていると言って延々とエアフックシュートを放っていました。

そうしているうちにろみちゃんが到着しました。私は買ってきたプロテインをろみちゃんに渡すと、彼女は「プロテイン売ってる場所なかなか見つからなかったからすごい助かる!」と言ってとても喜んでくれました。我々3人はしばらく九份の街を散策した後、九份を通るローカル線である「平渓線」という電車に乗って「猴硐(ホウトン)」という街へ移動しました。

猴硐は、世界中から猫好きが集まると言われている街で、なるほど駅を降りると早速数匹の猫が観光客に囲まれている光景を目にしました。しかしながら、「猫がたくさんいる」ということ以外は特に何の変哲も無い、むしろ寂れた雰囲気の街であるため、我々は駅周辺をしばらく歩いて遭遇した猫とその都度畑正憲風にジャレ合い、小一時間経ったところで台北市内へ戻ることにしました。

台湾死亡遊戯 -其の伍- へ続く

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